看護師の離職率は?主な離職理由や病院側ができる対策も解説
2025.05.31
2025.05.31

「看護師の離職率ってどれくらい?」
「どのような理由で辞めてしまうことが多いの?」
「離職率を下げるために、病院としてできることは?」
看護師の離職に関して、このような疑問や悩みをお持ちの医療機関は多いのではないでしょうか。
日々の診療を支える看護師の安定した定着は、診療体制の維持だけでなく、医療機関の経営安定にも大きく関わる重要な課題です。
本記事では、看護師の離職率の現状と主な退職理由を詳しく解説します。さらに、離職率を改善し、看護師にとって働きやすい職場環境を築くために病院側が実践できる具体的な対策もご紹介します。
看護師が働きやすい職場づくりを目指す医療機関の方は、ぜひ参考にしてください。
なお、ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールなどの業務でお悩みの場合は、ぜひご相談ください。
看護師の離職率は?正規職員や新卒・既卒の傾向

看護師は「離職率が高い職業」とよく言われますが、その実態はあまり詳しく知られていないのではないでしょうか。
公益社団法人日本看護協会が発表した「2024年 病院看護実態調査」によると、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%でした。
以下の表は、2020〜2023年度の正規職員の離職率と、その内訳(新卒・既卒)の推移です。
調査年 | 正規看護職員の離職率 | 新卒採用者 | 既卒採用者 |
---|---|---|---|
2023年 | 11.3% | 8.8% | 16.1% |
2022年 | 11.8% | 10.2% | 16.6% |
2021年 | 11.6% | 10.3% | 16.8% |
2020年 | 10.6% | 8.2% | 14.9% |
参考:公益社団法人日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」
2023年度の離職率は、前年(2022年度)と比べて正規職員全体で0.5ポイント減少し、わずかに改善が見られました。
「看護師の離職率は本当に高いの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
厚生労働省の「令和4年 雇用動向調査結果」によると、民間企業を含む全産業平均の離職率は15.0%です。これと比較すると、看護師の離職率は特別に高い水準ではないことがわかります。
また、「看護師の離職率」は「新卒」と「既卒」で大きく異なります。
たとえば、2023年度のデータでは、新卒看護師の離職率が8.8%だったのに対し、既卒者は16.1%と約2倍近い差がありました。このことから、一度看護師を経験したことのある人のほうが、離職率が高い傾向であると言えるでしょう。
看護師の離職率が高い病院の傾向

看護師の離職率は、病院によっても差が見られます。
一般的に、以下の特徴を持つ病院は離職率が高い傾向にあります。
- 民間運営の病院
- 人員が不足している病院
ここからは、これらの特徴を詳しく見ていきましょう。
国立や公立運営の病院より民間運営の病院の離職率は高い
国立や公立運営の病院に比べて、民間運営の病院の方が看護師の離職率が高い傾向にあります。
以下は、正規雇用看護職員の離職率を設置主体別にまとめた表です。
設置主体 | 正規雇用看護職員離職率 |
---|---|
国立 | 10.2% |
公立 | 7.7% |
日本赤十字社 | 9.4% |
済生会 | 11.4% |
厚生連 | 10.0% |
社会保険関係団体 | 10.5% |
公益社団・財団法人 | 13.4% |
私立学校法人 | 12.5% |
医療法人 | 14.4% |
社会福祉法人 | 12.0% |
個人 | 12.1% |
参照:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 設置主体別・看護職員(保健師・助産師・看護師・准看護師)の離職率」
このデータによると、医療法人(14.4%)、公益社団・財団法人(13.4%)、私立学校法人(12.5%)、個人(12.1%)、社会福祉法人(12.0%)が高い離職率を示していました。
この結果から、国立や公立病院に比べ、医療法人などが運営する民間病院の看護師離職率が高い傾向にあることが分かります。
人員不足が看護師の疲弊と離職を招く
人手不足に陥っている病院も、看護師の離職率が高い傾向にあります。
慢性的な人手不足が続くと、看護師一人あたりの業務負担が増大するだけでなく、長時間労働や希望通りの休日が取得できない事態を招きます。
このような過酷な労働環境に置かれることで、看護師は疲弊し、結果として離職へとつながるでしょう。
看護師が離職する理由は?代表的な原因を解説

看護師が離職に至る理由は人それぞれですが、多くの職場で共通して見られる主な要因もあります。
以下は、看護師の離職につながる代表的な要因です。
- 労働環境への不満
- 待遇面での不満
- 人間関係の悩み
- 家庭の事情
- キャリアアップや他職種への関心
また、単独の要因だけではなく、複数の要因が絡み合って離職につながる場合もあります。
ここからは、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
労働環境への不満
過酷な労働環境は、看護師が離職を考える大きな要因のひとつです。
特に夜勤がある職場では、家族や友人と生活リズムが合わないことや、慢性的な疲労に悩む看護師も少なくありません。
さらに、人手不足により、長時間労働や不規則な勤務体制が常態化している現場では、「残業が多い」「休暇が取りにくい」「希望通りに休めない」といった不満が積み重なります。
このような厳しい労働環境は、身体的にも精神的にも大きな負担となり、結果として離職につながるケースが多く見られます。
待遇面での不満
「給与が安い」「業務内容に見合っていない」など、待遇面への不満が、離職の要因となることもあります。
看護職は、人の命を預かる責任の大きな仕事であり、心身ともに大きな負担がかかります。
そのため、業務に見合った待遇が得られない場合、働く意欲やモチベーションの低下を招き、結果として離職につながってしまうでしょう。
人間関係の悩み
人間関係の悩みが、離職につながるケースは少なくありません。
上司や同僚とうまく関係を築けず、困ったときに気軽に相談できる雰囲気がないと、職場全体の空気が悪くなり、日々の業務そのものがストレスに感じられてしまいます。
また、人手が不足している職場では、働く側にも心の余裕がなくなり、ギスギスした雰囲気になりがちです。
さらに、看護師の仕事は、患者やそのご家族、医師など、さまざまな人と関わる機会が多いため、看護師以外の人間関係に悩みを抱えるケースもあります。
家庭の事情
結婚や出産、介護などのライフスタイルの変化をきっかけに、離職を選ぶ看護師は一定数います。
子育てや介護など、家庭の事情によって、独身時代のような働き方を続けるのが難しくなることは多いです。
たとえば、夜勤のある職場では「子どもを預ける人がいない」「夜勤の免除が難しい」などの事情から、仕事を続けたくても続けられない状況に陥ることがあります。
さらに、夫の転勤にともない、やむを得ず転職や退職を選択するケースも珍しくありません。
キャリアアップや他職種への関心
「キャリアアップを目指したい」といった前向きな理由から、今の職場を離れる看護師もいます。
これまで経験したことのない新しい分野に挑戦したい思いから、環境を変える方もいるでしょう。
また、より専門的なスキルを身につけるために勉強時間を確保したり、研修や資格取得に専念したりするために離職を選ぶケースもあります。
さらに、看護師以外の仕事に関心を持ち、他職種への転向を目指して退職する方もいます。
看護師の離職率を下げるために病院ができること

「看護師が定着するような対策を知りたい」とお悩みの医療機関は多いのではないでしょうか。
看護師の離職率は、病院側の積極的な取り組みによって改善が可能です。
ここでは、病院ができる具体的な対策を3つご紹介します。
- 労働環境の見直し
- メンタルサポートの強化
- キャリア支援の充実
それぞれの対策を確認して参考にしてください。
労働環境の見直し
離職率を下げるには、定期的に労働環境を見直すことが大切です。
看護師が働きやすい環境をつくるために、病院が取り組める施策としては、以下のようなものがあります。
- 給与水準の引き上げ
- 希望する時間帯で働きやすくする仕組みづくり
- ワークライフバランスを取りやすい体制の整備
- 業務負担を軽減
これらに加え、オンコール業務代行サービスの活用やITシステム・ツールの導入なども検討により、看護師がより快適に働ける環境を整えることができます。
安心して働ける労働環境は、スタッフ一人ひとりの心にゆとりをもたらし、職場の人間関係の改善にもつながっていくでしょう。
メンタルサポートの強化
看護師の離職を防ぐうえで、メンタルサポートは欠かせません。
看護師の仕事は責任が重く、精神的な負担も大きいため、過度なストレスやメンタル不調を未然に防ぐための支援体制が必要です。
たとえば、定期的な面談の実施や専門のカウンセラーの配置により、気軽に相談できる環境を整備することは、看護師の精神的な安定につながるでしょう。
一人ひとりの悩みや不満にしっかり耳を傾け、改善の機会を設けることで、結果として離職率の低下も期待できます。
キャリア支援の充実
キャリアアップを目指す看護師のモチベーションを維持するには、キャリア支援を充実させることも必要です。
意欲的に取り組める業務の提供や、資格取得に向けたサポート体制の整備など、成長を後押しする環境が整っていれば、「この職場で長く働きたい」と感じる看護師も増えるでしょう。
夜間・休日のオンコール業務代行活用で看護師の負担を軽減

夜間や休日のオンコール対応は、看護師にとって大きな負担となっています。そのため、看護師の労働環境を見直すうえで、オンコール代行サービスの導入は有効な手段のひとつです。
オンコール対応を行っている医療機関では、看護師が当番を担うケースも少なくありません。しかし、オンコール業務は、電話対応だけでなく緊急時の呼び出しにもすぐに対応する必要があるため、看護師は心身ともに常に緊張状態に置かれます。
特に夜間や休日のオンコールは、強いストレスの原因となり、離職を考える要因にもなりやすいでしょう。
そのため、オンコールの負担を代行サービスで軽減できれば、看護師がより安心して働ける環境が整い、結果として離職率の改善にもつながると考えられます。
看護師の離職率を下げる取り組みで働きやすい職場環境を整えよう

安定した病院運営には、看護師の定着が不可欠です。そのためにも、労働環境の見直しと離職率を下げるための継続的な取り組みが重要です。
看護師が安心して長く働ける環境を整えることが、結果として医療現場全体の質の向上にもつながります。 働きやすい職場づくりを通じて、持続可能な医療体制を築いていきましょう。
ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。
低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールなどの業務でお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

関連記事RELATED





