2024年の医師の働き方改革がバイトに与える影響は?規制内容やバイトをする際の注意点を詳しく解説!
公開日: 2024.08.06
更新日: 2025.04.11

「医師の働き方改革がバイトに影響を与える」「働き方改革による主な変更点が知りたい」
アルバイトをしている医師のなかにはこのような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
2024年4月からスタートした医師の働き方改革により、時間外・休日労働時間の上限規制が設けられました。
本記事では、医師の働き方改革がアルバイトへ与える影響やアルバイトをするうえでの注意点を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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2024年4月医師の働き方改革のポイント

厚生労働省が行った医師の労働時間に関する調査では、1週間の労働時間が60時間を超える医師は男性41%、女性28%にのぼることが報告されています。

引用:厚生労働省「第9回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 医師の勤務実態について」
また、男性医師9%、女性医師6%は1週間に80時間以上働いており、多くの医師は法定労働時間を超える働き方をしていることがわかります。
このような、医師の労働環境を改善するために、2024年4月より医師の働き方改革がスタートしました。
まずは医師の働き方改革のポイントとして以下の3つを紹介します。
- 時間外・休日労働時間の上限規制
- 医療提供体制の効率化
- 労務管理の改善
それぞれの詳細を確認していきます。
ポイント①:時間外・休日労働時間の上限規制
医師の働き方改革では、医師の過労を防ぐため、時間外労働と休日労働について上限規制が設けられました。
時間外・休日労働時間の上限規制は、医師が働く医療機関で適応される水準(詳細は後述)に応じて異なります。
また、時間外・休日労働時間の上限規制は医師が常勤として働く医療機関だけでなくアルバイトなど全ての勤務先の労働時間が規制の対象となります。
そのため、2024年の働き方改革を受けて医師は上限時間内でアルバイトをする必要があるのです。
ポイント②:医療提供体制の効率化
医師の時間外労働時間を減らすためには、医療提供体制の効率化が重要となります。
働き方改革により、時間外・休日労働時間の条件規制を設けても医師不足により医療現場がひっ迫していれば労働時間の改善は困難となります。
そのため医療機関には、IT技術の導入による診療の効率化を進めるなど、医師の労働時間を短縮するための体制構築が求められます。
ポイント③:労務管理の改善
医師の働き方改革にともなう時間外・休日労働時間の上限規制は医師を雇用する医療機関に求められます。
そのため、各医療機関は医師の労働時間の管理を徹底し、労働時間が長い医師がいる場合は改善をしなければなりません。
時間外・休日労働時間の上限規制は、アルバイトも労働時間に含まれるため医師がアルバイトを行なっているのかを把握する必要もあります。
また、医療機関には労働時間の管理・改善はもちろんのこと、有給休暇の取得や、心身の健康を定期的にチェックする仕組み作りを整えることも求められるでしょう。
時間外・休日労働時間の上限規制を守ればバイトはできる!

2024年4月から施行される医師の働き方改革により、医師の時間外・休日労働時間の上限規制は厳しく制限されます。
そのため、医師のなかには「今後バイトができないのでは?」と不安を抱える方もいます。
しかし、医師のアルバイトは労働時間の上限規制を守れば引き続き可能です。
労働時間の上限規制は医師が働く医療機関で適応される水準に応じて異なります。
以下では、それぞれの水準について詳しく紹介します。
時間外・休日労働時間時における3つの水準
時間外・休日労働時間の上限規制では、原則すべての勤務医の時間外労働を「年間960時間以下/月100時間未満」に収めることが求められています。
しかし、全ての医師に上限規制を適用してしまうと夜間医療体制や地域医療の維持が困難になってしまうケースが発生してしまいます。
そのため、医療機関が担う機能や働く医師の特性に応じた上限規制が設けられました。
時間外・休日労働時間の上限規制は以下の3つの水準に分類されます。
区分 | 対象 | 時間外労働の条件 | 面接指導 | 就業上の措置 |
A水準 | すべての医師★診療従事勤務医 | 年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む) | 義務 | 努力義務 |
B水準 | 地域医療暫定特例水準 ★救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関 | 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む) | 義務 | 義務 |
C水準 | 集中的技能向上水準 ★初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師 | 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む) | 義務 | 義務 |
どの水準に該当するかによって適用されるルールが異なります。以下ではそれぞれの水準の詳細を確認していきます。
A水準
医師の働き方にともない病院や診療所、介護医療院などに勤める勤務医には医師には原則A水準が適用されます。
A水準が適応される医師は「月100時間未満、年960時間」までであれば時間外労働が認められます。
もしも、月100時間以上の労働が発生する場合は、面接指導を行い、就業上の措置として勤務インターバルとしての9時間の確保などの努力義務が求められます。
B水準
B水準は、救急車の受け入れが年間1,000台以上の救急医療機関など緊急性が高い医療を提供する医療機関が該当します。
B水準が適応される医師は「月100時間未満、年1,860時間」までであれば時間外労働が認められます。
ただし、医療機関がB水準と認めた場合であっても長時間労働が必要な業務に従事する医師のみ上記の時間外労働が認められます。
そのため、医療機関がB水準であったとしても、自身の業務に適用される水準を確認しておくことが重要です。
C水準
C水準は、臨床研修や専攻医の研修など特定の専門性が求められる医療業務に従事する場合の水準となります。
C水準が適応される医師もB水準と同様に「月100時間未満、年1,860時間」までであれば時間外労働が認められます。
B水準とC水準が認められた医療機関で働く医師は、長時間の時間外労働が認められていますがB水準は2036年3月の終了が目標とされています。また、C水準も上限を縮減していく方針となっており医師の長時間労働の改善が進められています。
医師がバイトをする際の注意点

医師の働き方改革を受けて時間外・休日労働時間の上限規制の厳守はもちろんですが、医師がバイトをする際は以下の注意点もあります。
- 本業に支障がない程度のアルバイトにとどめる
- 常勤先への労働時間の自己申告
制度を守り無理なく働くための参考にしてください。
本業に支障がない程度のアルバイトにとどめる
アルバイトを探す際は、本業に支障がない程度の仕事を選ぶことも大切です。
医師は人の健康や命に関わる仕事をするため、アルバイトによる過労で業務に集中できないということはあってはいけません。
睡眠時間を確保して無理なく本業とアルバイトを行えるように注意しましょう。
常勤先への労働時間の自己申告
アルバイトをする際は、常勤先に対してバイトの労働時間を自己申告することが重要です。
時間外・休日労働時間の上限規制は医師を雇用する医療機関に求められます。
そのため、医療機関が医師の労働時間を適切に管理するためには医師のアルバイト先の労働時間を把握しておかなければなりません。
常勤先にもアルバイトの労働時間を申告し、規制を厳守した働き方を心掛けましょう。
労働時間の調整がしやすい医師におすすめのバイト3選

時間外・休日労働時間の上限規制が定められたため、今後医師がアルバイトを選ぶ際は労働時間の調整がしやすい仕事を選ぶこともポイントとなります。
以下では医師がスケジュールを柔軟に調整しやすい仕事を紹介します。
- 往診代行
- スポットアルバイト
- 医療系のセミナー講師
これからアルバイトを探す方はぜひ参考にしてください。
往診代行
往診代行は、患者の自宅や施設を訪問して診療を行う仕事です。医師がスケジュールを調整しやすく、比較的自由な時間配分でアルバイトが可能です。
そのため、労働時間の調整もしやすく上限規制を厳守した働き方が可能です。
また、往診がない時間は自宅でのんびりと過ごすことができるため体への負担も他のバイトと比べて少ない傾向にあります。
往診代行は時間の労働時間の調整がしやすく働く負担も少ないため、おすすめのアルバイトといえるでしょう。
スポットアルバイト
医療機関の繁忙期や急な医師不足を補うためのスポットアルバイトもおすすめのアルバイトの一つです。
一日のみの勤務や短期間の契約などがあり、本業に差し支えない範囲で働けます。
本業の労働時間とアルバイトの労働時間の調整がしやすいため上限規制を守って働くことが可能となるでしょう。
スポットアルバイトの仕事内容は、外来や当直、長期休暇期間などの代診が中心となります。
お盆や正月など医師の人手不足になりやすい時期に求人が増加する傾向にあります。
オンライン診療
オンライン診療も労働時間のスケジュール管理がしやすいアルバイトとなります。
労働時間も雇用先と相談のうえ働けるため、本業の労働時間と調整しながらアルバイトができます。
また、オンライン診療サービスを提供する事業者のなかには自宅で患者とオンラインで映像をつないで診療を提供する場合もあります。
自宅で気軽に働けるため隙間時間を利用してアルバイトができます。
アルバイトをする際は時間外・休日労働時間の上限規制の厳守を!

医師がバイトをする際には、時間外労働や休日労働の上限規制を厳守することが重要となります。
また、時間外・休日労働時間の上限規制は常勤で働く医療機関の労働時間に加えてアルバイトの時間も規制の対象となるため注意が必要です。
そのため、アルバイトを行う際には必ず自分の労働時間を管理し、上限を超えないようにしましょう。
なお、アルバイトを探す際は時間の調整がしやすいバイトを探すこともポイントです。
本記事で紹介したおすすめのアルバイトを参考に仕事を探してください。
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