医師の働き方改革が始まったことで問題視されているオンコールとは?医療業務の課題を詳しく解説!
公開日: 2024.08.06
更新日: 2025.04.09

「医師の働き方改革の現状は?」「医師の働き方改革で問題となるオンコールの解決策は?」
このような疑問をお抱えの医療機関も多いのではないでしょうか。
医師の働き方改革のなかでオンコールが問題点として取り上げられます。
本記事では、医療機関のオンコールの現状や医師の働き方改革を進めるうえで問題となるオンコールの詳細を紹介します。ぜひ参考にしてください。
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2024年4月より医師の働き方改革が始まった

日本政府により公布された「良質かつ適切な治療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」に伴い、2024年4月より、医師の働き方改革が始まりました。
(参考:厚生労働省「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」)
近年、医療機関における医師の長時間労働の常態化や休日確保の難しさが問題視されてきました。
医師の勤務実態調査によると、1週間あたり60時間以上勤務している男性医師が41%、女性医師が28%。80時間以上勤務している男性医師は9%、女性医師は6%にのぼることが報告されています。

(引用:厚生労働科学研究「医師の勤務実態調査」)
労働基準法に定められた週40時間を超える医師が多数いる現状にあるなかで、医師の働き方改革が求められたのです。
医師の働き方改革における3つのポイント
医師の働き方改革におけるポイントは以下の3つです。
- 医師の時間外労働の規制
- 健康確保のための措置を整備
- 医師の業務範囲や養成課程の見直し
「良質かつ適切な治療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」で求められる内容を確認していきます。
ポイント①:医師の時間外労働の規制
厚生労働省は医師の働き方改革により時間外労働の上限規制を行います。
医師の時間外労働の規制は、以下の3つの区分ごとで異なる上限が設けられました。
区分 | 対象 | 時間外労働の条件 |
A水準 | すべての医師★診療従事勤務医 | 年960時間以下/月100時間未満(休日労働含む) |
B水準 | 地域医療暫定特例水準 ★救急医療など緊急性の高い医療を提供する医療機関 | 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む) |
C水準 | 集中的技能向上水準 ★初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指すなど、短期間で集中的に症例経験を積む必要がある医師 | 年1,860時間以下/月100時間未満(休日労働含む) |
ポイント②:健康確保のための措置を整備
医師の働き方改革により時間外労働の上限が定められたとしても、人手不足により医療機関の現状が適合していないと上限をオーバーしてしまうことがあります。
長時間労働が常態化すると医師の健康面へ悪影響をもたらすため改善が必要です。
そのため、時間外労働時間の上限を超えてしまった場合は当直と通常勤務の間に9時間の休憩を設ける「勤務間インターバル」の設置、または適切な代休を設けることが定められました。
また、月間100時間の時間外労働をおこなった場合は対象医師への指導と医療機関への体制変更指導が行われます。
ポイント③:医師の業務範囲や養成課程の見直し
医師の労働時間を削減するためには、医療体制の見直しも重要となります。
医師が担当する業務範囲の見直しやメディカルスタッフの業務範囲の拡大も進められます。
また、医療機関の人手不足を補うために研修医が実習として行える医業の拡大など医師を取り巻く環境が見直されています。
医師の長時間労働の改善が進まない原因

医療機関では2024年の「医師の働き方改革」に向けて医療体制の改善が求められます。
しかし、医師の働き方改革の改善が困難とされる理由として以下の2つが挙げられます。
- 人手不足
- オンコール勤務
医師の働き方改革が難しいと言われる原因を以下で確認していきます。
原因①:人手不足
医師の労働時間の削減が困難な理由として、医療機関の人手不足の問題があります。
近年、少子高齢化に伴い高齢者の割合が増加するなかで医療の需要が高まっています。
一方で、医療業界の人手不足は深刻化している現状にあるのです。
日本医師会総合政策研究機構の調査によると人口1,000人あたりの医師数は、世界38ヵ国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の平均が3.5人であるのに対し日本は2.4人であり、諸外国と比較して医師が少ないことが報告されています。
(参考:日本医師会総合政策研究機構「医療関連データの国際比較」)
人口あたりの医師数が少ないと医師一人ひとりの業務負担は増加します。
その結果、医師の働き方改革が導入されたとしても人手不足が原因で医療体制の改善が難しくなるのです。
原因②:オンコール
多くの医療機関で導入されているオンコールも医師の労働時間削減を難しくしている要因です。
オンコールとは、夜間や休日に患者の体調急変に備えて自宅待機をする勤務形態のことです。
オンコールにより医療機関への出動があると時間外労働が発生します。
日勤帯の勤務に加えていつ出動になるかわからないオンコールによる労働時間が加算されると、時間外労働の上限厳守が難しくなるのです。
医療機関でオンコールの改善が求められる2つの理由
医師の働き方改革を進めるためには、医療機関において以下の2つの理由からオンコールの改善が求められます。
- 精神的・体力的ストレスによる離職
- 医師の採用困難
医師の働き方改革を進めて法律を厳守するために、以下の理由を確認していきます。
理由①:精神的・体力的ストレスによる離職
オンコールによる出動で医師の労働時間が増えると精神的・体力的な負担が増加します。

(引用:エムスリーキャリア「医師 6,000人の転職理由を調査! もっとも多い転職理由は?」)
エムスリーキャリアが行った医師の転職に関する調査では、転職理由の1位に「過剰な業務負担・リスクの解消」が挙げられました。
医師の過剰労働は離職につながり、更なる人手不足を招く悪循環へとつながるのです。
そのため、オンコールを改善して医師の負担を軽減することが必要となります。
理由②:医師の採用困難
また、オンコールは医師の負担となるため、オンコールがある医療機関を避ける医師もいます。
都市部の大きな病院であれば医師が充足しているため、必然的にオンコールの回数が分散されます。
一方で、医師不足が深刻な医療機関の場合、医師1人が受け持つオンコールの回数も増加します。
そのため、オンコールに負担を感じる医師は、医師が充実した医療機関を希望してしまい医師が少ない医療機関は採用が難しくなるのです。
医師の働き方改革に向けたおすすめの取り組み

医師の働き方改革に向けた医療体制の改善のためには、DX化の促進が重要となります。
DX化の促進が重要な理由を確認していきます。
DX化の促進
医療機関のDX化を進めることで業務の効率化が図れ、医師の負担や労働時間の削減につながります。
例えば、電子カルテを導入することでこれまで手書きで行っていたカルテの記入時間を短縮できます。
また、システム上で患者の医療情報を共有できるため、医療機関内での情報共有をスムーズにできます。
DX化を進めて医療機関で行う業務の効率化を図ることで、医師が業務に費やす時間を削減でき働き方改革につながります。
医師の働き方改革におけるオンコールに関するよくある質問

オンコール待機は労働時間に含まれますか?
オンコール待機が労働時間にあたるかどうかは、労働基準法においてもグレーゾーンと言われています。
労働基準法上の労働時間とは「使用者の指揮命令下にある時間」を指します。
オンコールは、出動がなければ自宅で学会の準備や論文の執筆、読書や仮眠などに時間を充てることも可能です。
そのため、医療機関によってはオンコール待機を労働時間に含めない場合もあるのです。
オンコールによる出動が少ない診療科はありますか?
診療科によってはオンコールが少ない場合があります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構は、診療科ごとのオンコールの回数を以下のように報告しました。

(引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」)
例えば、放射線科は一部のカテーテル治療を除いて緊急を要する場面が少ない診療科です。
そのため、オンコールによる出動の機会は他の診療科と比べて少ない傾向にあります。
また、精神科も緊急を要する場面が少ないためオンコールの回数は少ない傾向にあります。
オンコールを担当した時の報酬はいくらですか?
オンコールの待機手当は職種によっても異なります。一般的なオンコールの手当は以下の通りです。
職種 | オンコール待機1回あたりの手当相場 |
医師 | 10,000〜30,000円 |
看護師 | 1,000〜3,000円 |
事務スタッフ | 1,000〜2,000円 |
また、オンコールの連絡を受けて患者のもとに出動する場合は、待機手当にプラスして別途出動手当が支給される場合もあります。
オンコールを担当した時の報酬は、医療機関や出動の有無によっても異なるためあくまでも目安としてください。
医師の働き方改革に向けた準備を進めよう!

2024年から始まる医師の働き方改革において、医療機関では時間外労働時間の遵守が求められます。
しかし、人手不足やオンコールなどの問題を抱える医療業界で医師の労働時間の削減は容易ではありません。
多くの医療機関で導入されるオンコール体制を見直したりDX化を進めたりすることで業務の効率化が期待できます。
医師の働き方改革を進めるために医療機関は準備を進めていきましょう。
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