医薬分業のメリット・デメリットとは?院外処方の現状もあわせて紹介!
公開日: 2024.08.06
更新日: 2025.04.10

「医薬分業はどの程度進められている?」「医薬分業のメリット・デメリットを知りたい」
このような疑問をお抱えの医療機関も多いのではないでしょうか。
近年、医療機関で診察を受けた後の医薬品の提供を調剤薬局で行う医薬分業が進められています。
医薬分業を行うことで、医師と薬の専門家である薬剤師が患者に処方された医薬品を二重にチェックできるため、より安全に薬の提供が可能となります。
また、医療機関としても医薬品の調剤を院内で行わなくてもよいため、医薬品を準備する業務負担の改善にもつながります。
本記事では、医薬分業を行うメリット・デメリットを紹介します。また、医薬品を調剤薬局で提供する際のデメリットの解決方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。
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院外処方の現状は?

日本の医薬分業は1997年に厚生労働省が37の国立病院へ医薬の完全分業を指示したことをきっかけとして始まり、現在では多くの医療機関が院外処方を取り入れています。
日本薬剤師協会の「医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)」では、医薬分業を取り入れる医療機関の推移を以下の通り報告しています。
年度 | 医薬分業率 |
1986 | 9.7% |
1990 | 12.0% |
1995 | 20.3% |
2000 | 39.5% |
2005 | 54.1% |
2010 | 63.1% |
2011 | 65.1% |
2012 | 66.1% |
2013 | 67.0% |
2014 | 68.7% |
2015 | 70.0% |
2016 | 71.7% |
2017 | 72.8% |
2018 | 74.0% |
2019 | 74.9% |
2020 | 75.7% |
2021 | 75.3% |
2022 | 76.6% |
2023 | 80.3% |
(参考:日本薬剤師会「医薬分業進捗状況(保険調剤の動向)」)
現在、医薬品を院外処方している医療機関は全体の約8割にのぼり、過去と比べても年々増加傾向にあることがわかります。
医薬分業のメリット5選

医薬分業を行う医療機関が増加傾向にある理由は、院外処方をすることで医療機関にとって多くのメリットが得られるためです。ここでは、医療機関が医薬分業を行うメリットを5つ紹介します。
- 医師が診療に集中できる
- 薬を管理するコストが削減できる
- 処方箋のダブルチェックができる
- 重複投与や相互作用などを確認しやすい
- 患者に専門性の高い説明ができる
現在、院内処方を行っている医療機関は医薬分業のメリットを理解するために役立ててください。
メリット①:医師が診療に集中できる
患者の診察を医師が行い医薬品の提供を薬剤師に任せることで、診療に専念できます。
その結果、患者に対して充実した医療提供が可能となり診察の品質を高めることにつながります。
また、在庫にとらわれず医師が自由に薬の処方ができるため、処方する医薬品の幅も広がるでしょう。
医薬分業により、医療提供の質を高められるため患者の満足度も向上します。
メリット②:薬を管理する手間が削減できる
院内処方の場合、医療機関が医薬品を購入して管理しなければなりません。
そのため、医薬品を置くためのスペースや管理のための人件費が必要となります。
特に、小さな医療機関の場合では医薬品の保管スペースにより院内の空間を圧迫してしまうケースもみられます。
院外処方にすることで、医療機関が医薬品を管理する手間を削減できる点もメリットといえるでしょう。
メリット③:処方箋のダブルチェックができる
医療機関が医薬分業を行うことで、医師と薬剤師による処方箋のダブルチェックが可能となります。
医師により発行された処方箋を、院外の薬局の薬剤師が確認することで医薬品の処方ミスに気づきやすくなるのです。
万が一、患者に適さない医薬品を提供してしまうと症状が治らないだけでなく大きな副作用につながる恐れもあります。
このように、ダブルチェックにより医薬品の提供ミスを防げる点も医薬分業のメリットの1つです。
メリット④:重複投与や相互作用を確認しやすい
患者が複数の医療機関に通っている場合、ときに医薬品の重複投与が起こる場合があります。
医薬品の重複投与は副作用が出やすくなるため未然に防がなければなりません。
また、複数の医療機関で医薬品を貰っていると薬の相互作用が起きるケースもあります。
医薬分業を行うことで薬剤師の薬歴管理により、重複投与や相互作用を防げます。
メリット⑤:患者に専門性の高い説明ができる
薬剤師は、医薬品に関する豊富な知識を持つプロフェッショナルです。
院外処方にすることにより、専門性の高い薬剤師が患者に医薬品の服用に関する説明をすることができるようになります。
医薬品の服用方法などを詳しく説明できることで、服薬アドヒアランスの向上につながり治療効果も高まります。
医薬分業のデメリット3選

医薬分業はメリットが豊富である反面、デメリットもあるため注意が必要となります。医薬分業の主なデメリットは以下の3つです。
- 患者の手間が増える
- 患者負担が増える
- 調剤薬局の在庫が多くなる
それぞれのデメリットを確認していきます。
デメリット①:患者の手間が増える
医薬分業は、患者の手間が増えてしまうことがデメリットの1つです。
院内処方であれば、患者は診察から薬の受け取りまでを医療機関で完結できます。
しかし、院外処方の場合は患者が医療機関と調剤薬局それぞれを訪れなければなりません。
そのため、患者によっては二度手間となります。特に、足腰が悪い患者にとっては医薬分業は不満につながる場合があるのです。
デメリット②:患者負担が増える
医薬分業推進のために、調剤薬局に支払われる調剤報酬は基本料が高めに設定されています。
そのため、院内処方と比べて院外処方で薬を購入する際の患者の負担が増えます。
薬を受け取るために調剤薬局に訪れなければならない手間に加えて薬を購入するための費用も高くなるため患者にとってデメリットといえるでしょう。
デメリット③:調剤薬局の在庫が多くなる
医薬分業を行うことで医療機関は医薬品の在庫を削減できます。一方で調剤薬局は、取り扱う医薬品の在庫が多くなります。
調剤薬局は、患者がどこの医療機関から処方箋をもらって薬局に来るかわかりません。また、月々薬局に訪れる患者の人数にもばらつきがあります。
そのため、よく処方される医薬品を在庫として多めに確保しなければなりません。
処方箋に合わせて多くの医薬品を在庫として抱えなければならないため管理コストも必要となります。
さらに、処方されず使用期限の切れた医薬品は破棄する必要があるため、調剤薬局にとっては負担となるのです。
医薬分業のデメリットを解決する方法

医薬分業のデメリットは対策をとることで解消が可能です。医薬分業のデメリットの解決方法を2つ紹介します。
- オンラインサービスを利用する
- 薬局との連携を強めて在庫管理をコントロールする
それぞれ確認していきます。
オンライン服用サービスや処方箋画像送信サービスを実施する
医薬分業による院外処方は、医療機関と調剤薬局両方に訪れなければならない仕組みのため、患者に手間をかけてしまいます。
そのため、患者の手間を少しでも解消できるようにオンライン服用サービスや処方箋画像送信サービスを実施することも対策の一つです。
オンライン服用サービスでは、患者が薬局に足を運ばなくても自宅に薬を配送でき服用指導を行えます。
また、処方箋画像送信サービスを実施することで薬局に事前に処方箋情報を伝えられます。患者が薬局に訪れた際に待ち時間なくすぐに医薬品の提供ができるため患者の不満の解消につながるでしょう。
医療分業で患者に与える手間は、ITで解消できる場合があるため使用を検討してみましょう。
医療機関と薬局の連携を強めて在庫管理をコントロールする
医薬分業は薬局の在庫が過剰になりやすくなります。そのため、医療機関と薬局の連携を強めて在庫管理をコントロールすることも大切です。
例えば、地域にある医療機関に毎月訪れるおおよその患者の人数や症状を確認しておくことで、必要な医薬品の在庫の把握が可能となります。
また、医薬品の共同購入やデットストックの買取サービスを活用することでも医薬品の在庫の負担削減につながるでしょう。
医療分業のデメリットを解消しつつ患者ファーストの医療提供を!

本記事では、医薬分業を行うメリット・デメリットを解説しました。
医薬分業は医師と薬剤師による医薬品の二重チェックや医療機関の業務負担の削減などメリットが豊富です。
一方で、患者が薬局に訪れなければならないなどデメリットもあるため注意が必要です。
医薬分業のデメリットを解消する対策をしながら患者ファーストの医療提供を目指していきましょう。
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