在宅医療において薬剤師が抱える課題とは?求められる役割や病院薬剤師との違いを詳しく解説!
公開日: 2024.08.06
更新日: 2025.04.10

「在宅医療で薬剤師が抱えやすい課題は?」「求められる役割が知りたい」
在宅医療を提供する医療機関のなかにはチーム医療を進めていくにあたり、このような悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
在宅医療のニーズの増加により、在宅医療における薬剤師の必要性も高まりを見せています。
本記事では、在宅医療薬剤師が抱えやすい課題や、求められる役割などを詳しく紹介します。また、在宅医療薬剤師と病院薬剤師の違いも解説するためぜひ参考にしてください。
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在宅医療における薬剤提供の現状

医療法人社団 悠翔会が行った「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」では、令和5年度の日本の在宅医療の診療件数は141,553件であったことが報告されています。
そのうち134,977件で薬の処方が行われており、在宅医療での医療的介入の大部分が処方薬によるものであることが明らかになりました。
また、在宅患者に対して薬剤師が患者宅を訪れて薬の説明を行う割合は全体の65%にのぼります。
このように、在宅医療は薬の処方がメインで行われており、在宅医療薬剤師の稼働状況は高い現状にあります。
(参考:医療法人社団 悠翔会「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」)
在宅医療薬剤師がチーム医療に必要性な理由

チーム医療において在宅医療薬剤師は以下の2つの理由から必要となります。
- 高齢者の増加
- 医療機関の減少
それぞれ確認していきます。
理由①:高齢者の増加
近年、日本では高齢化が進んでいます。総務省が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると日本の総人口のうち約29%が65歳以上の高齢者であることが示されました。
また、少子化に伴い今後も65歳以上の高齢者の割合は増加することが予想されています。
特に75歳以上の後期高齢者の方のなかには、足腰が不自由で医療機関に訪れることが困難なケースもあります。
そのため、高齢化が進む日本では在宅医療の社会的ニーズが増加することが予想されるため在宅医療薬剤師の必要性はますます高まるでしょう。
(参考:総務省「令和4年版高齢社会白書」)
理由②:医療機関の減少
厚生労働省の調査によると、日本国内の医療機関の数は平成2年をピークに減少傾向にあることが報告されています。

(引用:厚生労働省「医療提供体制の現状 〜病院数の推移〜」)
医療機関の減少は、政府の「療養病床の再編」という方針によるもので医療費の削減と適切な医療の提供を目指して進められています。
また、「療養病床の再編」により医療機関の病床数も同様に減少しているため、それに伴い在宅医療を求める患者も増加することが予想されています。
在宅医療を必要とする患者が増えれば、おのずと在宅医療薬剤師も必要性が高まるのです。
在宅医療における薬剤師の課題

在宅医療のニーズが高まるなかで、在宅医療薬剤師は今後さらに重要な存在となります。しかし、在宅医療薬剤師の体制構築には多くの課題があることが問題視されています。ここでは、在宅医療における薬剤師が抱える課題を4つ紹介します。
- 在宅医療で薬剤提供をする薬剤師不足
- 深夜や早朝の薬剤提供体制の構築不足
- 在宅医療における薬局情報の周知が不十分
- 薬局経営においてコストがかかる
それぞれ確認していきます。
課題①:在宅医療で薬剤提供をする薬剤師不足
在宅医療は、近年ニーズが増加してきた医療形態となります。そのため、在宅医療に関する専門知識が豊富で経験を持っている薬剤師は多くはありません。
また、都市部と比べて地方は薬剤師の絶対数自体が少ない傾向にあります。
薬剤師の人数が少ない調剤薬局では、そもそも在宅医療に在宅医療薬剤師として訪れることが困難なのです。
このように、在宅医療に対応した薬剤師の不足も今後の課題といえます。
課題②:深夜や早朝の薬剤提供体制の構築不足
在宅医療では患者の体調急変に対応できるように24時間体制で患者をサポートすることが求められます。
しかし、現状では深夜や早朝における薬剤提供体制は十分に構築されているとはいえません。
人手不足やコストの問題から24時間体制が難しい薬局が多いのが現実です。
そのため、24時間365日体制の薬剤提供体制の構築が課題となっています。
課題③:在宅医療における薬局情報の周知が不十分
在宅医療での薬局情報が十分に周知されていないため、適切なサービスを受けるため「どの薬局に依頼すれば良いのか」「どんな薬剤師が対応してくれるのか」が不明確であるケースが少なくありません。
在宅医療での薬の提供においてどの薬局がどのようなサービスをしているか、患者やその家族が把握できるような取り組みが必要です。
課題④:薬局経営においてコストがかかる
在宅医療を支えるために薬局経営をするには多くのコストが必要となる点も課題の1つです。
例えば、専門的な知識を持つ薬剤師の雇用や研修、また深夜や早朝の対応体制を整えるための人件費増などがあり、大きな負担となります。
また、薬を適切に提供できるように無菌室の整備などの設備投資なども必要です。
このように、薬局が在宅医療向けのサービスを提供するための負担が大きく、参入ハードルが高いことがが課題となっています。
在宅医療薬剤師に求められる役割

薬剤師は在宅医療におけるケアチームの一員です。在宅医療薬剤師に求められる役割は以下の5つです。
- 患者の症状に合わせた薬の提供
- 薬の服用に関する指導
- 患者の体調変化のチェック
- 医療スタッフとの連携
- 飲み合わせの確認
それぞれ確認していきます。
役割①:患者の症状に合わせた薬の提供
在宅医療薬剤師の主な役割は、患者の症状に応じた最適な薬を提供することです。
患者の症状や現在の健康状態を詳細に把握し、それに基づいて適切な薬を選択します。
在宅医療は薬局の営業中だけでなく24時間365日体制であるため、必要であれば閉局後に患者宅へ向かい薬を届ける場合もあります。
役割②:薬の服用に関する指導
薬剤師は、処方した薬を患者が正しく飲めるように服用指導も行います。薬は、服用するタイミングや服用量、回数によっても効果が異なります。
また、過剰に薬を摂取してしまうと症状の改善どころか副作用につながる恐れもあります。
薬の服用について一方的に説明をするだけでなく患者の疑問や悩みを聞くことも服薬アドヒアランスを高めることにつながります。
役割③:患者の体調変化のチェック
患者の体調が日々変動することは珍しいことではありません。
そのため、在宅医療薬剤師は定期的に患者の体調をチェックし、体調変化に気づいた場合は速やかに医師と連携する必要があります。
例えば、薬の服用により副作用の兆候が見られた場合は、早期に発見し適切な対策を講じなければなりません。
日々の体調の確認も在宅医療薬剤師の役割となります。
役割④:医療スタッフとの連携
在宅医療は、薬剤師だけでなく多くの医療スタッフが関わります。
薬剤師は、医師や看護師、リハビリテーションの専門家と密に連携し患者に最適な薬を提供する役割を担います。
特に、患者の治療方針に変更があった際は、その情報を速やかに把握し、治療計画に適した薬に変更することが求められるでしょう。
多職種と連携し患者に質の高い医療を提供していくことも在宅医療薬剤師の役割です。
役割⑤:飲み合わせの確認
複数の薬を服用している患者に対しては、薬の飲み合わせの確認も在宅医療薬剤師の役割です。
医療の現場において薬同士の相互作用や飲み合わせが時々問題となることがあります。
患者が服用するすべての薬が安全に併用できるかを確認し、万が一、問題があれば代替薬を提案します。
特に、複数の慢性疾患を抱えている患者は多くの薬を服用している場合があるため、副作用を防ぐためにも飲み合わせの確認は必須です。
在宅医療薬剤師と病院薬剤師の違い

在宅医療薬剤師と病院薬剤師では、勤務する場所や業務内容が異なります。
以下では、それぞれの特徴の違いを確認していきます。
病院薬剤師の特徴
病院薬剤師の勤務先は、所属する医療機関となり入院患者に対して薬の提供をします。
病棟内の医師や看護師などの医療スタッフとの連携や患者カンファレンスへの参加などを通して患者が服用する薬の効果の最大化を目指します。
また、院内処方を行う医療機関の場合では、外来で訪れた患者に対して薬の提供も行います。
さらに、医療機関内の薬剤管理や患者への薬の服用指導も業務範囲です。
在宅医療薬剤師の特徴
在宅医療薬剤師の勤務先は、保険薬局となります。
在宅医療薬剤師は、医師や看護師など多職種の医療スタッフと連携をとりながら患者に適した薬を提供します。
在宅医療薬剤師はチーム医療に必要不可欠

今後ますます在宅医療のニーズが高まる現代において、チーム医療において在宅医療薬剤師は必要不可欠な存在となります。
また、患者に対して適切な在宅医療を提供するためにも在宅医療薬剤師には多職種のスタッフとの密な連携が求められるでしょう。
医師や看護師、ケアマネジャーなどと連携して、在宅医療を受ける患者に安全かつ安心な医療を提供できるようにチーム医療体制を整えていきましょう。
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