かかりつけ医と大きな病院の連携の重要性とは?医療連携強化におけるメリットも解説
2025.01.24
2025.05.26

かかりつけ医と大きな病院が連携するとどのようなメリットが得られるのか、チーム医療が推進されるなかで悩んでいる経営者の方もいるでしょう。
連携によって、収益向上や運営コストの削減、診療の効率化など、経済的メリットは得られます。しかし、実現する過程でいくつかの課題が生じるでしょう。
この記事では、かかりつけ医と大きな病院の連携による経済的メリットや、実現する過程で生じる課題と解決策について解説します。
他の医療機関との連携を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
※本記事におけるかかりつけ医とは、日本医師会が提示する「かかりつけ医」の定義と同様の医師を指す
参照:厚生労働省「「かかりつけ医」ってなに?」
※本記事における大きな病院とは、高度な医療を提供できるとされる特定機能病院を指すこととする
参照:厚生労働省「特定機能病院について」
ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールでお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

かかりつけ医と大きな病院の連携による経済的メリット4選

かかりつけ医と大きな病院の連携によって、下記4つの経済的メリットが得られます。
- 患者の流入増加による収益向上
- 運営コストの削減
- 情報共有による診療の効率化
- 待ち時間の短縮と治療の迅速化
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
患者の流入増加による収益向上
かかりつけ医と大きな病院の連携は、患者の流入増加による収益向上が期待できます。
かかりつけ医の認識調査によると、かかりつけ医をもっていない方の多くは、「病気にならないから必要ない」という理由でかかりつけ医がいません。一方で、「かかりつけ医に適している医師がわからない」や「かかりつけ医を選ぶ情報が少ない」という理由も2割程度あります。
このことから、かかりつけ医と大きな病院が連携し、連携しているという情報やかかりつけ医としての機能を国民に伝えることで、かかりつけ医を持つ方が増える可能性があります。
かかりつけ医を持つ方が増えれば、患者の流入増加が見込め、収益向上につながるでしょう。
参照:厚生労働省「かかりつけ医機能について」
運営コストの削減
かかりつけ医と大きな病院の連携による経済的メリットとして、運営コストの削減が挙げられます。
1つの医療機関がどんな患者にも対応しようとすると、各分野の専門医を確保したり薬や医療機器を準備したりしなければいけません。そうすると、医療の質の低下だけでなく効率的な運営ができずコストがかかります。
しかし、連携するとかかりつけ医は患者の健康管理を担当し、大きな病院は専門性の高い手術や検査などを担当するといったように、それぞれの治療に集中できるようになります。
専門分野に特化できれば、必要な人材や機器が限られてくるため運営コストの削減が期待できるでしょう。
参照:厚生労働省「医療法人と自治体病院等との連携の状況に関する調査研究 報告書」
情報共有による診療の効率化
かかりつけ医と大きな病院の連携は、情報共有による診療の効率化につながります。
連携をする際は、情報共有が重要になるため電子医療記録(EMR)の導入が推奨されています。
電子医療記録(EMR)はいわゆる電子カルテを指す言葉で、診療記録や検査オーダーなどを電子化できるため、紙カルテに比べて効率的な作業の実施が期待できます。
紙カルテは見る場所や時間が限られてしまいますが、電子カルテは医療機関内であれば場所や時間問わず確認ができ、情報共有がしやすいのが特徴です。
医療機関同士が情報を確認するためには電子健康記録(EHR)が必要ですが、電子健康記録(EHR)を活用するためには電子医療記録(EMR)の導入が不可欠です。
連携によって電子化が進められるため、情報共有がしやすくなり効率的な診療が可能となります。
参照:日本医師会,KDDI株式会社「官民PHR事業の進展状況と将来的なEMR/EHRとの連携について」
待ち時間の短縮と治療の迅速化
待ち時間の短縮と治療の迅速化ができるのも、連携のメリットです。
患者数が増えると診察までの待ち時間が長くなるケースも多く、診察時間への満足度が高くない患者が多くなる傾向にあります。
特に、大きな病院だと患者数が多かったり、医師が1つの診療に当たる時間が長かったりして待ち時間が長くなるケースが少なくありません。
かかりつけ医であれば、大きな病院より外来患者が少ないため待ち時間が短くなるでしょう。また、大きな病院でなくても対応できる患者がかかりつけ医のもとに分散されることで、大きな病院の外来患者数も減り、待ち時間短縮につながります。
また、紹介状によって患者情報が共有されているため、迅速に必要な治療が受けられます。
待ち時間の短縮と治療の迅速化によって患者の満足度が高まれば、医療機関への評価が上がり運営にとってもプラスとなるでしょう。
参照:厚生労働省「かかりつけ医機能の強化について外来医療における多職種の役割について」
連携を実現する過程での運営上の課題と解決策

連携によって経済的メリットが得られる一方で、連携を実現する過程で課題も生じます。ここでは、運営上の課題と解決策について解説します。
- 情報共有の方法の統一
- 病院以外の他職種連携のスムーズ化
- 連携のための適切なコミュニケーション
それぞれ詳しく解説します。
情報共有方法の統一
連携するにあたり、情報共有方法が課題となります。
医療機関同士の情報管理方法は、紙媒体であったり電子媒体であったりと統一されていません。
また、診療情報提供書の記載内容の詳細や書き方は医療機関ごとに異なります。
このように、情報共有方法が統一されていないため、連携に手間と時間がかかってしまいます。
そのため情報共有をスムーズに行うために、電子化を進め共有方法を統一させる必要があるでしょう。とはいえ、電子カルテの導入率は40%程度と低いのが現状です。
昨今、厚生労働省によって医療DXが進められています。医療DX推進で全国医療情報プラットフォームや電子カルテの標準化が進めば、より効率的に情報共有ができるようになると考えられます。
情報共有方法を統一し効率的に連携していくためにも、電子化を進めていきましょう。
参照:厚生労働省「医療DXについて」
小林大介,渡邊亮「地域医療情報連携ネットワークの利活用に関する実態と課題の検討―ネットワーク事務局及び参加医療機関に対するインタビュー調査―」
病院以外の他職種連携のスムーズ化
病院以外の他職種連携のスムーズ化は、連携を実現するためには欠かせません。
かかりつけ医と大きな病院の連携を円滑にするためには、医療機関同士の連携だけでなく、患者の入退院や生活支援に関わる他職種の協力が不可欠です。
例えば連携先として行政や福祉施設、在宅療養支援診療所などが挙げられます。
しかし関わる職種が多いと、情報漏れがあったり認識のズレが生じたりと正しい情報共有が難しくなります。
他職種連携をスムーズに実施するために、情報共有方法や緊急時の対応、再入院時の対応などを統一しておくようにしましょう。
患者情報や対応方法などを他職種で話し合う場を設け、共通の認識を持つことが連携のスムーズ化につながります。
参照:神奈川県立病院機構「地域医療連携について」
連携のための適切なコミュニケーション
コミュニケーション不足は、連携の大きな障害となるため避けなければいけません。
前述した通り、かかりつけ医と大きな病院の連携にはさまざまな職種が関わっています。
コミュニケーション不足が起こると、同じ検査を何回もしてしまったり事務手続きが滞ってしまったりと、必要な治療やサービスが提供できず患者ケアに影響を及ぼします。
コミュニケーションを円滑に行うために、地域医療連携を専門とする部署を設置するといいでしょう。この部署は、医療機関や介護施設、行政など患者ケアに関わる施設をつなぐ役割を果たします。
部署を設置することによって、医療機関同士の調整や入退院の手続き、地域の情報収集などが効率的に行えるようになるでしょう。
参照:全国連携実務者ネットワーク「地域連携室の役割は?」
かかりつけ医と大きな病院の連携が患者ケアの質に与える影響

かかりつけ医と大きな病院の連携は、患者ケアの質に影響を与えます。与える影響として、下記4つが考えられます。
- 患者満足度の向上
- 治療成果の改善
- 患者の安全の確保
- 予防的ケアの強化
それぞれがどのように患者ケアに影響を与えるのか、解説します。
患者満足度の向上
かかりつけ医と大きな病院の連携によって、患者満足度の向上が期待できます。
診察の待ち時間や診察時間の長さに、不満を抱いている患者は少なくありません。待ち時間が長いのに、診察時間が短いと患者のストレスとなるでしょう。
そこでかかりつけ医と大きな病院が連携をしていると、大きな病院からかかりつけ医に逆紹介ができます。
かかりつけ医は、大きな病院に比べ待ち時間が短い傾向にあるため患者の安心感や満足感も増加するでしょう。
反対に専門的な治療が必要なときは、かかりつけ医から大きな病院に紹介ができます。紹介の際は、大きな病院の予約をしてくれるところもあるため、待ち時間が短縮されます。また、紹介状で患者情報を共有しているためスムーズな診察も可能です。
このように、連携は待ち時間の短縮やスムーズな診療が可能となるため、患者満足度の向上につながるでしょう。
参照:厚生労働省「かかりつけ医機能の強化について外来医療における多職種の役割について」
治療成果の改善
かかりつけ医と大きな病院が連携をすると、治療成果の改善が見込めます。
なぜなら、軽症患者はかかりつけ医、重症患者は大きな病院といったように、患者の状態に見合った医療機関が受診できるからです。
特に、重症患者は治療が遅れると命の危機につながりかねません。迅速に大きな病院と連携して紹介することにより、大きな病院で高度な医療を受けられるのは患者の命を助けるために重要です。
連携は、患者に必要な医療の提供や治療成果の改善のためにも重要といえるでしょう。
患者の安全の確保
かかりつけ医と大きな病院の連携は、患者情報が事前に共有されていることで患者の安全の確保につながります。
共有される情報には、患者の病状や過去の医療介入、アレルギー、服用薬剤など治療に必要な情報が記載されています。
情報が共有されているため、一から診察をする必要がなく迅速に治療の提供が可能です。
加えて、医療ミスや薬剤の誤投与なども防げます。
また、大きな病院の外来診療が紹介患者に絞られると、本当に必要な方に高度な医療の提供ができるようになります。必要なときに必要な治療が可能になり患者の安全性を確保できるのも大きなメリットです。
予防的ケアの強化
予防的ケアの強化も、かかりつけ医と大きな病院の連携によって実現可能になるでしょう。
かかりつけ医は、日常の診療で患者の健康管理や経過観察をしています。加えて、健康に関する悩みや不安などの相談を受ける場合もあります。そのため、患者の異変に気付きやすい場所でもあります。
大きな病院と連携をしていると、異変を感じた際に大きな病院にすぐに検査や治療依頼が可能です。迅速な対応は、疾患の早期発見と早期治療につながり、重症化を事前に予防することも期待できるでしょう。
また、大きな病院との連携によって診療時間に余裕ができると予防接種や検診なども実施できるようになる場合があるため、地域の方も自分の体の状態を把握する機会を増やせます。自分の体の状態を把握することで、地域全体の健康や予防への意識向上につながるでしょう。
参照:厚生労働省「かかりつけ医機能の強化について外来医療における多職種の役割について」
連携によって効率的な運営と質の高い医療を提供しよう

かかりつけ医と大きな病院の連携による経済的メリットや、連携を実現する過程で抱える課題と解決策などについて解説しました。
かかりつけ医と大きな病院の連携は、収益向上や運営コスト削減などのメリットが得られます。また、患者の満足度向上や安全の確保など、患者ケアにおいても良い影響を与えます。しかし、連携を実現するためには、情報共有方法や他職種とのコミュニケーション方法などの課題を解決しなければいけません。
この記事の解決策などを参考に、かかりつけ医と大きな病院の連携を検討してみてください。
ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールでお悩みの場合は、ぜひご相談ください。


関連記事RELATED





