看護師が抱える5つのストレスの原因!離職率改善のためにできる労働環境の改善策とは
公開日: 2025.02.04
更新日: 2025.02.24

看護師は業務量の多さや人手不足、責任感の重さなどから、ストレスを抱えやすい職種です。そして看護師の離職は、医療現場に大きな影響を与えます。そのためなかに、医療現場の質を保つためにも、看護師の離職を防止したいという方は多いのではないでしょうか。
本記事では、看護師がストレスを感じる原因とストレスが医療現場に与える影響、管理職が行うべきストレス軽減のための戦略について解説します。
看護師のストレスを軽減して離職率を下げたい、職場環境を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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看護師が直面する主なストレスの原因

看護師は、ストレスを抱え込みやすい傾向にあります。看護師が直面するストレスの原因として、主に下記5つが考えられます。
- 長時間労働
- 人手不足
- 患者との対人関係
- 職場内のコミュニケーションの問題
- 上下関係の厳しさ
それぞれの原因について、解説します。
長時間労働
長時間労働は、ストレスの原因の一つです。
看護師は、前残業や後残業で長時間労働になりやすい傾向にあります。
実際に日本看護協会が実施した調査によると、8割以上の看護師が前残業を実施しているというデータが出ています。
またイレギュラーな対応が多く仕事量の調整が難しい点も、労働時間の増加に関係していると考えられるでしょう。長時間労働による看護師の負担増加は、ストレスにつながります。
参照:日本看護協会「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」
人手不足
人手不足も、看護師に負担を与え、ストレスを抱える原因となります。
看護師の数は増加傾向ですが、高齢化社会の需要に追いついておらず人員不足が続いている状態です。日本の100床あたりの看護師の平均人数は、諸外国の1/4というデータがあり日本の看護師の人手不足がうかがえます。
人手不足が起こると、看護師1人が受け持つ患者数が多くなり業務量が増加します。さらに、夜勤時は日中帯よりも人が少なくなるため負担が大きくなり、より強くストレスを感じるでしょう。
参照:厚生労働省「コメディカル不足に関して~看護師の人数と教育~」
患者との対人関係
看護師は、患者と接する機会が多い職業です。そのため、患者との対人関係でストレスを感じやすい傾向にあります。
患者と接する際は、以下のような場面で強くストレスを感じるようです。
- 忙しさで患者にしっかりと向き合う時間が取れない心苦しさ
- 患者からの暴言や暴力
- 患者と家族間の問題に関する葛藤
患者から感謝されることが多い一方で、心無い一言や暴力を受けることも少なくありません。毎日患者と接するからこそ、ストレスがたまりやすいといえます。
参照:相川択弥,三村未美,金山美鈴,鈴木理香「A病院における看護師のストレス実態調査」
職場内のコミュニケーションの問題
患者だけでなく職場内のコミュニケーションも、看護師のストレスの原因となります。
チーム医療において、看護師は医師や薬剤師、他科の看護師など他の医療従事者とコミュニケーションをとる機会が多い職種です。
他の医療従事者と接する際は、経験年数や専門分野の違いによって意見が言いづらかったり意見の食い違いが起きたりと、精神的負担が大きくなります。
職場内のコミュニケーションが多い看護師はストレスを抱えやすいのでしょう。
参照:日本看護協会「メンタルヘルスケア」
上下関係の厳しさ
5つ目のストレスの原因として、部署内での上下関係の厳しさが挙げられます。
看護師は上下関係がしっかりしているため、先輩より早く退勤できなかったり希望の休みがとれなかったりするケースも少なくありません。
看護職員の労働実態調査によると、上司からのパワハラが一番多いという結果が出ており、特に20〜29歳と若い世代の約70%は上司からパワハラを受けたと回答しています。
看護師の仕事は患者の命に関わるため、厳しい対応になりやすいのは仕方がない側面もある一方、指導による厳しさがストレスになるのも事実です。
参照:日本医療労働組合連合会「2022年 看護職員の労働実態調査「報告書」」
看護師がストレスを抱えることによる医療現場への影響

看護師がストレスを抱えることで医療現場にどのような影響を与えるのでしょうか。医療現場への影響として、下記4つが考えられます。
- 看護師の離職によってケアの質が低下する
- 看護師の離職率の上昇
- 医療事故を起こすリスクが高まる
- 看護師の体調不良による人員不足が生じる
それぞれ詳しく解説します。
看護師の離職によってケアの質が低下する
看護師がストレスを抱え、離職率が上昇するとケアの質の低下につながります。
看護師は、長時間労働や人手不足、業務量の多さなどによりストレスを抱えやすい職種です。そのため、離職してしまう看護師も少なくありません(詳しい離職率については次の章で解説します)。
看護師の数が減ると1人あたりの受け持ち患者が増え、患者に必要なケアを十分に実施できなくなる可能性があります。
十分な看護が行えない理由の85.3%が「人手不足による業務過多である」というデータがあるほど、人手不足はケアの質に影響を与えています。
このように、看護師の離職率の上昇によって人手不足が生じると、ケアの質が低下し医療現場に大きな影響を与えるでしょう。
参照:日本看護協会「メンタルヘルスケア」
独立行政法人労働政策研究・研修機構「4割の看護職員が職場にメンタル障がいで休む・治療を受けている職員がいると認識」
看護師の離職率の上昇
ストレスを抱え込むことで、看護師の離職率が上昇します。
日本看護協会の調査によると、2021年度の離職率は以下の通りです。
- 正規雇用看護職員の離職率:11.6%
- 新卒採用者の離職率:10.3%
- 既卒採用者の離職率:16.8%
各離職率は前年度よりも増加しており、新卒採用者にいたっては初めて10%を超えました。
このように離職率が上昇していくと、前述のようなケアの質の低下につながります。また人手不足から看護師の1人あたりの業務量が増えると、さらに離職率が上昇するといったような悪循環も生まれてしまいます。
参照:日本看護協会「「2022年 病院看護実態調査」 結果」
医療事故を起こすリスクが高まる
看護師がストレスを抱えると、医療事故を起こすリスクが高まります。
ストレスの原因となる長時間労働や人手不足による業務量の負荷は、看護師のアクシデントやインシデントのリスク因子となります。
加えて、慢性的な人手不足による医療現場の忙しさは、医療事故の原因の1つです。
このように、ストレスは看護師のミスを誘発する原因となります。医療現場は小さなミスでも、患者の命にかかわる重大な事故につながりかねません。
また、医療事故や医療過誤によって訴訟に発展すると経営も危ぶまれます。
医療事故を防止するために、看護師のストレス対策は重要です。
参照:金子さゆり,濃沼信夫,伊藤道哉「病棟勤務看護師の勤務状況とエラー・ニアミスのリスク要因」
日本医労連・全大教・自治労連 「2022年看護職員の労働実態調査」
看護師の体調不良による人員不足が生じる
強いストレスを抱えた結果、体調不良やメンタル不調となり休職や離職するケースもあります。
看護職員の労働実態調査では、4割の看護師が「職場にメンタル障害で休むまたは治療を受けている看護師がいる」と回答しています。また休職や離職をしていなくても、健康状態に不安を抱えている看護師も多くいるのが現実です。
このように、ストレスは身体的にも精神的にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
休職や離職によって看護師の人数が減ると、現職員のストレスが増加しさらに休職者が増え、人手不足が加速するという負のループになってしまう可能性があります。
参照:日本医労連・全大教・自治労連 「2022年看護職員の労働実態調査」
管理職が看護師のストレスを管理し軽減するための戦略とは

看護師の離職率を低下させて質の高い医療を提供するために、管理者は看護師のストレスを軽減するための対策を実施する必要があります。ここでは、看護師のストレスを管理するための戦略を4つ紹介します。
- シフトの改善
- 人員を増やす
- スキルアップやキャリア開発の機会を提供する
- メンタルヘルス面の支援制度を検討する
各戦略を参考にし、看護師のストレスを少しでも軽減させるように努めましょう。
シフトの改善
看護師のストレスを軽減するためには、まずシフトの改善が重要です。
そもそもストレスを解消するためには、適切な休息が必要です。しかし、イレギュラーな対応や残業で休憩時間や家で過ごす時間がとれなかったり、周囲を気にして希望の休暇を出せなかったりと十分な休息がとれていない場合があります。
看護師の休みを確保するためには、管理職がシフトを見直す必要があります。
シフト管理をする際は、以下の内容を意識するといいでしょう。
- 勤務間インターバルを確保する
- 残業時間を管理する
- 休憩時間を確保する
- 希望の休暇を申請しやすいような制度を設ける
- 有給休暇の取得を促進する
- シフト交換時のルールを簡易化する
少しずつ改善していき、看護師が働きやすい環境に整えていきましょう。
参照:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」
人員を増やす
人員を増やすことによって、看護師のストレス緩和が期待できます。
慢性的な人手不足による業務量の多さは、看護師がストレスを抱える大きな原因です。そのため、人員を増やし看護師1人にかかる業務量を減らせられれば、心身ともに余裕ができてストレス軽減につながるでしょう。
また、人手が増えると患者と接する時間を増やすことができ、質の高い看護を提供できるようになります。
しかし、看護師の採用にはコストがかかるため、むやみに人員を増やすのは避けましょう。加えて、医療機関に適していない人材を採用した場合、逆に他の看護師の負担を増やしてしまう可能性があるため採用には慎重にならなければなりません。
採用する人材や人数を明確にしたうえで人員を増やせば、看護師のストレス軽減につながるでしょう。
スキルアップやキャリア開発の機会を提供する
看護師のストレス軽減のために、スキルアップやキャリア開発の機会を提供するのは1つの戦略です。
日々の業務の忙しさで、看護をしているやりがいや達成感などを感じにくくなっている場合もあります。
看護におけるやりがいを感じられないと、スキルアップやキャリアプラン設計に意欲がわかず、忙しさで心がすり減ってしまいます。
医療機関でスキルアップやキャリア開発の機会を提供すると、目標達成に向けて意欲的に働けるようになるでしょう。
しかしスキルアップやキャリア開発を強制させてしまうと、反対にストレス増加につながる可能性があるため注意が必要です。
参照:日本医労連・全大教・自治労連 「2022年看護職員の労働実態調査」
メンタルヘルス面の支援制度を検討する
メンタルヘルス面の支援制度の検討は、看護師のストレスの管理や軽減につながる場合があります。
看護師は、業務量の多さや責任の重さなどでストレスを感じやすい職種です。
ストレスをためこみすぎると、うつ病になったりミスが増えたりするため、定期的に発散する必要があります。しかし、ストレスへの対処法がわからないという方もいるでしょう。
そのため、医療機関でカウンセリングの機会やストレス対処法を学ぶ機会などを設けるようにしましょう。
メンタルヘルス面の支援制度を設けることによって、看護師自身でストレス管理ができるようになり、ストレスを抱え込みすぎてしまう事態を防げるようになります。
看護師のストレスの原因を知り職場環境を改善しよう

看護師が直面するストレスの原因やストレスを抱えることによる医療現場への影響、ストレスを管理し軽減するための戦略について解説しました。
看護師のストレスの原因には、過剰な労働時間や人手不足、患者や他職種とのコミュニケーションなどが挙げられます。ストレスが原因で離職率が上昇すると、患者ケアの質の低下や医療事故を起こすリスクが高まり、医療現場に悪影響を及ぼしかねません。
ストレスの原因を個人のみで解決するのは難しいため、管理職が対策をする必要があります。シフト管理やスキルアップ支援、メンタルヘルス面の支援などを実施し、看護師がストレスを抱えにくい環境を作っていきましょう。
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