医者の雇用形態の種類とは?医師の非正規雇用における課題を解決するための対策も紹介
公開日: 2025.02.04
更新日: 2025.04.10

医師の雇用形態は多様化しており、どの形態で医師を雇用すればいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。各雇用形態のメリットとデメリットを把握していないと、治療の質の一貫性が保てず患者へ適切な医療を提供できなくなるケースも起こり得るでしょう。
本記事では、各雇用形態のメリットとデメリット、医師を雇用する際に生じる課題の解決策などについて解説します。
医師の雇用形態の詳細について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールでお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

医者の各雇用形態のメリットとデメリット

医者の雇用形態は、下記4つにわけられます。
- フルタイム・常勤
- パートタイム・非常勤
- 派遣社員
- 業務委託・フリーランス
各雇用形態のメリットとデメリットを解説します。
フルタイム・常勤
厚生労働省によると、1週間の勤務時間が32時間以上の場合、常勤医師と定められています。
常勤医師の雇用には、以下のメリットとデメリットが挙げられます。
メリット | ・人材育成がしやすい ・安定した医療の提供ができる |
デメリット | ・固定費がかかる ・シフト調整が難しい |
常勤医師は、医療機関にいる時間が長いため、安定して医療の提供が可能です。また、人材育成によって、医療機関の理念に沿った人材となる可能性があります。
一方で、人材育成の教育費や採用のための採用費、準備費などコストは高くなります。もし、早期退職となった場合はコストだけがかかってしまいます。
参照:厚生労働省「医療法第 25条第 1項の規定に基づく立入検査要綱」
パートタイム・非常勤
パートタイム・非常勤は、1週間に32時間未満勤務の医師を指します。
非常勤は、「定期非常勤」と「スポット勤務」の2種類に分けられます。
定期非常勤とは、勤務する曜日と時間が決まっている働き方です。
スポット勤務とは、日雇いのように不定期に決まった日時のみ働く方法です。
パートタイム・非常勤で雇用するメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・柔軟に人員配置ができる ・コスト効率が良い |
デメリット | ・継続勤務は難しい ・やりがいや働きがいを感じづらい |
非常勤医師は、常勤医師に比べコストをかけずに医師不足に対応できます。しかし、短時間勤務や一時的な勤務なため、働きがいを感じづらく医療機関の理念に沿った働きをしてもらえない可能性があります。
参照:厚生労働省「医療法第 25条第 1項の規定に基づく立入検査要綱」
派遣社員
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令」によると、医師の業務は下記の場合のみ派遣が可能と定められています。
- 紹介予定派遣
- 病院・診療所等(介護老人保健施設または医療を受ける者の居宅において行われるものを含む)以外の施設(社会福祉施設等)で行われる業務
- 産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代替業務
- 就業の場所がへき地・離島の病院、社会福祉施設等および地域医療の確保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等における医師、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師の業務
引用:一般社団法人 日本人材派遣協会「病院・診療所などにおける医療関連業務」
医師を派遣するメリットとデメリットには、下記が挙げられます。
メリット | ・採用の手間をかけずに専門性の高い医師を確保できる ・退職リスクが抑えられるため、安定運用ができる |
デメリット | ・コストが高い ・連携や品質管理が難しい |
派遣の場合、自院で人員募集をせずに必要なスキルを持った医師の確保ができるため、手間がかかりません。
しかし、医師の労働料金だけでなく派遣会社にマージン(仲介手数料)を支払う必要があるため、コストは高くなります。
参照:厚生労働省「令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
統計で見る日本「賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
業務委託・フリーランス
フリーランス医師とは、開業もせず雇用もされず、医師業務を請け負う医師のことです。
業務委託・フリーランス医師を雇用した場合、以下のメリットとデメリットがあります。
契約時点でどういった業務を依頼するのかを明確
メリット | ・必要な業務を指定して依頼できる |
デメリット | ・品質管理が難しい ・委託契約が複雑 |
業務委託やフリーランスは、医師が不足している場合に活用できます。また、契約内容によっては特定の業務に特化してもらうことも可能です。
一方で、業務委託契約が複雑で、相違があるとトラブルになりかねません。フリーランス医師と契約する際は、「準委任契約」を結びます。双方の同意がとれた契約ができるよう、知識を身に付ける必要があります。
医者の雇用形態の多様化と人材不足の現状

医師の数は増加傾向にあり、前述のように雇用形態も多様化しています。しかし、医療現場の医師不足は変わっていません。
実際に、標榜診療科すべてに医師を配置できている病院は24%ほどしかなく、医師不足を感じている病院が多く存在します。また、その半数は赤字経営であるようです。
医師不足を解消しようと、求人を出したり派遣を利用したりと医師の確保に努めている医療機関もありますが、赤字経営だとコストの捻出が難しく、難航している医療機関が少なくないのも現状です。
参照:一般社団法人 日本病院会「2019 年度 勤務医不足と医師の働き方に関するアンケート調査」
医者の雇用について経営側が抱える課題やリスク

医者の雇用について経営側が抱える課題やリスクは、以下の3つが考えられます。
- 治療の質の一貫性を確保することが難しい
- コミュニケーションが取りづらい
- 患者との信頼関係の構築が困難
それぞれ詳しく解説します。
治療の質の一貫性を確保することが難しい
医療の高度化や患者ニーズの複雑化に伴い、治療の質の高さが求められています。治療の質が悪化すると、患者に選ばれなくなり経営難に陥りかねません。そうならないためにも、治療の質を確保する必要があります。
しかし、医者を雇用する際に、治療の質の一貫性を確保するのは難しいのが現状です。
常勤であれば、勤務していくなかでスキルが磨かれ、医療機関の理念に沿った対応ができるようになり一貫性が保たれる可能性は高いでしょう。一方で、派遣やフリーランスだと、技術力があっても独自のやり方で進めてしまい、医師ごとにバラバラな対応となる可能性があります。
このように、治療の質の一貫性を確保する難しさが多様な雇用を行ううえでの課題となります。
コミュニケーションが取りづらい
コミュニケーションが取りづらくなることも、医者の雇用で抱える課題です。
チーム医療が重要視されているなか、医療従事者間のコミュニケーションは重要です。特に、医師はチーム医療において指示を出す立場にあるため、チーム内で意思疎通を図り判断する必要があります。
常勤医師であれば、チーム内のメンバーと接する機会が多く信頼関係を築きやすいでしょう。しかし、非常勤や派遣の医師は、コミュニケーションの機会が限られているため、情報共有がうまくなされなかったり、誤解が生じたりする可能性があります。情報伝達漏れがあると、患者の治療に影響を及ぼすリスクも高まります。
質の高い医療を提供するためにも、コミュニケーションの取りづらさは早期に解消すべき課題といえるでしょう。
患者との信頼関係の構築が困難
医師の雇用形態の多様化が抱える課題として、患者との信頼関係の構築の困難さが挙げられます。
治療において、患者との信頼関係の構築は非常に重要です。そのためには、継続的に丁寧に対応する必要があるでしょう。
非常勤や派遣の医師だと、長期的に患者に接することが難しく信頼関係が築けない可能性があります。
また、前述したような情報の伝達漏れや認識の違いが生まれると、患者や家族に対して同じことを何回も聞いたり、統一性のない情報を伝えてしまったりと不信感を招く恐れもあります。
一度不信感を与えてしまうと、信頼を取り戻すのは難しいでしょう。
医師を雇用する際は、患者との信頼関係の構築についても考慮しなければいけません。
非常勤の医師を雇用する際の課題の解決策

非常勤の医師を雇用する際の課題を解決するためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、解決策を3つ紹介します。
- 契約について明確化する
- 適切なオリエンテーションの実施やマニュアル整備を行う
- 定期的な評価や昇給などのフィードバックを実施
各解決策について、詳しく解説します。
契約について明確化する
非常勤の医師を雇用する際は、契約について必ず明確化するようにしましょう。
雇用契約においては、下記内容を明示しなければいけません。
- 契約期間
- 契約更新について
- 仕事をする場所や仕事内容
- 勤務時間や休憩時間、休日、休暇
- 給料の計算方法や支払い方法
- 退職について
上記項目以外にも、必要な項目は追加しましょう。契約内容の認識にズレが生じると、トラブルにつながるケースも考えられます。
トラブルを回避するために、契約内容は明確にして双方の認識にズレがないようにしましょう。
参照:女性医師支援センター「労働条件通知書を見てみましょう」
適切なオリエンテーションの実施やマニュアル整備を行う
非常勤の医師を雇用する際は、適切なオリエンテーションの実施やマニュアルの整備を行いましょう。
非常勤の医師は常勤の医師に比べ、医療機関の理念や方針、手順などの情報が把握できていない傾向にあります。医療機関のルールを知らず、医師独自のやり方で進めてしまうと治療の質の一貫性が保てなかったり、患者に不信感を抱かれたりする事態を生みます。
そうした事態を防ぐためにも、オリエンテーションの実施やマニュアル整備を行い、適切な情報共有をすることが大切です。
参照:蒲生智哉「「医療の質」と「チーム医療」の関係性の一考察―クリニカルパス活用による一貫性のある医療の実現―」
定期的な評価や昇給などのフィードバックを実施
非常勤医師の雇用後は、定期的な評価や昇給などのフィードバックの実施をしましょう。
非常勤の医師は短期間の勤務の場合もあり、契約によっては業務内容が限られているため、医療機関への帰属意識、貢献意欲、やりがいなどを感じづらいという特徴があります。よって、生産性が低下する場合もあるでしょう。
しかし、定期的な評価や昇給によって、自分が評価されているのを実感できるだけでなく、仕事において何を求められているのか認識のすり合わせなどができるため、仕事のモチベーション向上が期待できます。
参照:厚生労働省「医師の働き方検討委員会」
医者の雇用に関する国の取り組み「医師の働き方改革」とは

医師の雇用や働き方に関して、厚生労働省は「医師の働き方改革」を進めています。2024年4月から、以下の施策が実施されます。(※2024年3月時点の情報)
- 勤務医の時間外労働の上限規制
- 医師の労働時間短縮計画案の作成
- 勤務間インターバル制度
- 時間外・休日労働が多い医師に対する面接指導
医師の時間外・休日労働時間は、原則として年960時間が上限となります。しかし、地域医療の確保や研修などのため上限を超える場合、上限は1,860時間まで引き上げられます。その場合は、医療機関は労働時間短縮計画案の作成が必要です。
また月の時間外労働が100時間以上の見込みがある医師には、面接指導を実施しなければいけません。
そして勤務間インターバル制度は、退勤から次の出勤まで9時間以上を空けるというもので、医師が確実に休息を取れるように設けられました。経営者やシフト作成を担当する部署では勤務シフトを作成する際に、勤務間インターバルを確保する必要がある点を理解し配慮する必要があります。
働き方改革に関して不明点や疑問がある場合は、医療勤務環境改善センターで無料相談を実施しているので利用してみてください。
参照:厚生労働省「医師の働き方改革」
厚生労働省「医師の働き方改革手続きガイド2024年4月までの手続きガイド」
医師の雇用形態を知り効率的で質の高い運営を

医師の各雇用形態のメリット・デメリットや、非常勤の医師を雇用する際の注意点などについて解説しました。
医師を雇用する際は、常勤だけでなく非常勤という選択肢もあります。しかし、さまざまな雇用形態で医師を確保すると、治療の質の一貫性が保てなかったり患者との信頼関係の構築が難しかったりと課題も生まれます。課題を解決するために、オリエンテーションの実施やマニュアル整備、定期的なフィードバックの実施などを行っていきましょう。
また、2024年4月から医師の働き方改革が施行されます。新しい制度を踏まえつつ、医療機関に適した雇用形態で医師を採用するようにしましょう。
ファストドクターでは、夜間休日の往診を解消するために、現場を知る往診医やスタッフが往診・オンコールをワンストップで代行します。低コストかつ低リスクで24時間体制を貴院とともに作り上げ、切れ目のない医療の提供が可能となります。
提携医療機関数は641機関を突破しており、委託患者数は93,700人以上、5都市6医師会と契約を結んでいます。多くの医療機関で導入されている実績があり、提携後、離職率や働き方の改善を実感していただいております。
また、現在ファストドクターでは在宅医療を行う医療機関者様を対象に、無料トライアルを含めた特別キャンペーンを実施しています。夜間休日の往診やオンコールでお悩みの場合は、ぜひご相談ください。
