特別養護老人ホーム特有の課題をファストドクターで解決~働きやすい環境づくりを実現~
公開日: 2025.04.10
更新日: 2025.04.10

施設名 | 社会福祉法人 緑峯会 特別養護老人ホーム セントポーリア愛の郷 |
住所 | 兵庫県西宮市山口町上山口1584-1 |
代表 | 北嶋勇志 |
施設の強み | ・120床の全個室 ・特養向けに110床、ショートステイ用に10床の個室 ・一時金が必要なく、年金で施設を利用可能 ・介護に必要なものは無償で提供 ・音楽療法、料理療法を積極的に推進 ・月刊誌:愛の郷通信やSNS(Instagram等)で施設の様子を外部に情報発信 |
URL | https://ryokuhokai.com/ |

兵庫県西宮市にある特別養護老人ホーム(以下、特養)、セントポーリア愛の郷。「『愛の心』・・・愛の心で介護サービスを実践します」を基本理念に掲げ、認知症ケア、ADL維持のためのリハビリ、口腔ケア、看取り介護、ノーリフティングケアを5つの柱として取り組んでいます。
特養では、看護師への負担の大きさや、嘱託医(しょくたくい)の夜間の緊急対応など、医療面においてさまざまな問題が存在します。これは高齢のご入居者を抱えている施設にとって、大きな課題です。
ご入居者やその家族の方々に不安を抱かせたくない、看護師の方にとっても働きやすい職場環境を作りたいと言った思いから、ファストドクターへお問い合わせをさせていただき、支援が始まりました。
今回は北嶋勇志代表に、セントポーリア愛の郷とファストドクターは、どのようにして安心できる施設や働きやすい職場環境を作り上げたのか、その取り組みについてインタビューしています。
(聞き手:ファストドクター 百枝嵩裕氏)
入居者も家族も安心できる施設

施設行事である2月節分会の後の集合写真
――セントポーリア愛の郷の魅力を教えてください。
北嶋 セントポーリア愛の郷は、平成19年の4月に開設しました。新型のユニット型特別養護老人ホームで、全室120床、すべて個室です。居室にはベッド、トイレと洗面台が付いています。一時金が必要なく、介護に必要なものは施設で無料提供している点が魅力です。
また、セントポーリア愛の郷では、音楽療法士を専属で雇用しており、音楽療法による個人セッションやグループセッション等を行い、また、歌や楽器の演奏、年に2回の発表会や家族を招いた文化発表会を実施しています。
管理栄養士も在籍しており、手や指を使って包丁で野菜を刻んだり、粉をまぶしたりして、料理を作ることで認知症の進行を防いだり遅らせたりできる料理療法を行っています。
ADL(日常生活を送るために必要な動作や能力)を低下させないための取り組みを意識している点が強みと言えるでしょう。
働きやすく暮らしやすい環境を目指して

入居者の方との交流
――これまで取り組んできた、介護への工夫を教えてください。
北嶋 ICTを使った機器を導入しており、「眠りスキャン」という、入居者の眠りの深さを計測できる機器をベッドに設置しています。
そのため、眠りが深ければ起こす必要がなく、浅ければサポートが必要と、眠りの深さによって対応の可否を見わけられるようになっています。それによる夜勤の職員の業務量の軽減に積極的に取り組んでいます。
また、セントポーリア愛の郷では、「ノーリフティングケア」も重視しているのが特徴です。ノーリフティングケアとは、抱え上げない介護のことです。
ノーリフティングケアを実施することによって、介護職員にとっては腰痛予防を、入居者にとっては痛みのない移動及び移乗を実現できるようになりました。
看護師の負担軽減と入居者の安心を目指してファストドクターへ依頼

北嶋様
――ご自身で工夫をしてきた中で、弊社に依頼しようとしたきっかけは何ですか。
北嶋 今までは、当施設では医師が常駐にしておらず、看護師が医療的な判断をしなければならない場合が多々ありました。しかし、医療的な判断は医師に仰いでもらいたいというのが正直な思いです。医師の指示に従って業務を行えば、看護師のストレス軽減にもつながります。
私には特養の運営をしている関係者や仲間が沢山おりまして、その方々と会話する中で、看護師が継続して働けるような職場環境について話す機会があります。
他社をおすすめされたこともあるのですが、要望するレベルに達しておらず悩んでいたところ、ファストドクターがコロナ禍で活躍したことを耳にしました。
話を聞く中で、病気など、さまざまな場面で医師の判断を仰ぐ4つのトリアージをしっかりと発信してくれると感じ、依頼したいと思いました。
最初は今までと違う体制をとることに対して、内部で抵抗があったものの、今ではなくてはならない存在になっています。
――抵抗があった中での決め手は何でしょうか。
北嶋 一つは、看護師の負担軽減を実現するためです。看護師は制約が多く、採用が難しくなっています。ある程度の人数を採用するためには、働きやすい職場環境が欠かせません。そのため、看護師がオンコールをしなくてもよい体制が必要だと判断しました。
また、先ほども話しましたように、ご入居者に異変があった場合、医療的な適格な判断や指示は、看護師にはなかなか出せないものです。医師の指示に従って行動すればご入居者もご家族の方々も喜んでくれると判断したため、ご依頼させていただきました。
ファストドクターと実現する、愛のこもった介護

施設関係者のみなさまの写真(新年祝賀会)
――ファストドクターの導入前後で、何か変化はありましたか。
北嶋 今までは、19時〜翌8時の、看護師も嘱託医もいない夜勤帯の時間に何か起こった場合、介護職員が看護師に電話をかけるオンコール体制となっていました。そのため、看護師の判断に多くの対応がゆだねられ、微妙な判断の遅れや意思疎通が図れないケースが多くありました。
しかし、ファストドクターを導入してから、24時間医師の判断を仰げるようになりました。今まで看護師が担っていた医療的な判断を任せることができ、ご入居者やご家族からの信頼が厚くなり、また、看護師にとっても働きやすい職場を実現できました。
――働きやすい環境を実現できたことで、雇用面に変化はありましたか。
北嶋 看護師の採用は、とてもしやすくなりました。老人ホームの看護師は、通常の医療現場と比較して、高齢の方が働いている場合が多いです。
今までは、夜勤帯でなにか異常が発生した際は介護職員が看護師を呼び、24時間看護師がいつでも駆けつける体制が必須でした。
しかし、ファストドクターの導入によって看護師の夜勤帯の出勤が必要なくなり、高齢の看護師でも長く働きやすい職場環境を提供できるようになっています。
その結果、離職率の低下や採用率の向上を実現できるようになりました。
対応範囲の広いファストドクターで体制を強化

――弊社は年末年始も対応していますが、その点はいかがでしたか。
北嶋 年末年始にもご対応いただける点は、実際に利用してとても魅力的に感じました。年末年始は緊急の病院しか対応してもらえる場所がなく、ご入居者に異変があった場合は、救急車を呼ばざるを得ませんでした。
しかし、救急車もそう簡単に呼べるものではありません。過去、実際に救急車を呼んで注意されたこともありました。
そういった面で、年末年始やゴールデンウィークなど、医師が不在になりがちな場合も、ファストドクターの存在は大きくなっています。
電話をしたら「〇時までにお伺いします」と折り返しの電話が入り、当日中に来てくれる点も非常に助かります。
――過去に看取りも弊社にてご対応させていただいた経験もあると思うのですが、いかがでしたでしょうか。
北嶋 はい、おっしゃる通り過去に看取りまでファストドクターに対応してもらった経験があります。ご入居者が亡くなられた際、死亡診断書を書けるのは医師のみです。死亡診断書を書いてもらえなければ、ご遺体を外へお運びすることができません。
今までは、夜の時間などその日のうちに嘱託医と連絡が取れない場合、翌日にならないと死亡診断書を書いてもらえませんでした。
しかし、今はファストドクターに電話して、その日のうちに医師に来てもらって死亡診断書を書いてもらい、翌日の早朝には家族がご遺体を葬儀屋へ頼んでお運び頂ける状態になっている点が、とても魅力的に感じました。
――最後に、ファストドクターの導入を検討している方へメッセージをお願いいたします。
北嶋 ファストドクターを導入すべき場面はさまざまだと思いますが、特に特養には原則医師がおらず、夜になると看護師もいなくなってしまいます。こういった特養の医療的な弱点を補ってくれる存在です。
また、ファストドクターは私たちの思いを聞き、丁寧に、親切に対応してくれるため、安心感を持てます。当施設では介護職員も看護師もファストドクターに信頼を寄せており、導入以来、徐々に施設全体がよくなっています。
看護師をしっかり雇用したい、看護師や介護職員のストレスを少しでも軽減させてあげたいといった思いの強い特養であれば、ファストドクターを利用すべきだと思っています。
